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鼠径ヘルニアの手術前、手術後にまつわるポイント

 

手術費用

 

  • 日帰り手術で15万円程度
  • 一般的な2〜3泊の入院なら12〜18万円
  • 1週間の入院となると25〜30万ほど

 

日本では健康保険の加入が義務付けられているので、健康保険適用となると、自己負担はその3割となります。

 

ただし、どの病気でもそうですが、入院時の部屋代(ベッド代)は、健康保険の適用外となります。
したがって、入院期間が長ければ長いほど自己負担率は高くなります。

 

 

かんとん(脱出したヘルニアが元に戻らなくなる状態)症状を起こして壊死した腸を切除する手術を行った場合は、もう少し費用がかかります。
一般の生命保険の入院給付制度は、各保険種類によって異なるので、日頃から保障内容を確認しておいたほうが良いでしょう。

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手術による入院期間

 

「鼠径ヘルニア」の手術はとても簡単なもので、手術時間が短いのが特徴です。
ただし、手術が終わってもすぐには帰れません。

 

 

麻酔から完全に覚めていることが絶対条件で、さらに食事がとれることや痛みがない、もしくはあっても歩行に支障のない程度といった条件をクリアしていれば、退院となります。

 

 

麻酔から完全に覚める時間は、個人差もありますが、
だいたい全身麻酔で1時間、硬膜外麻酔や脊椎麻酔では、術後まもなくといったところでしょう。

 

 

かんとん(脱出した腸が元に戻らなくなる状態)症状を起こしていなければ、早ければ手術室に入ってから約3時間ほどで退院できます。
したがって、術後状態が良く、体力のある人なら、日帰り入院が可能です。

 

 

よほどの事がない限り、通常は前日に入院して手術日の翌日に退院するのが一般的です。
多くの人は、手術後に痛みを伴うため、1日病院でゆっくり養生します。

 

痛みの程度によってもう少し入院する人もいます。

 

また、かんとん症状に対する手術がおこなわれたり、壊死してしまった腸を切除する手術をおこなった場合は、完治するのに時間がかかります。
その場合は、1週間から10日間の入院をする場合もあります。

 

傷跡

 

「メッシュ法」を用いた鼠径ヘルニアの手術では、術後、1週間ほどで傷跡がなおるといわれています。

 

手術後、傷跡に絆創膏を張る場合もありますが、1、2日経てば表面的には回復するため、長く張る必要はありません。
入浴なども可能になります。

 

 

病院によっては、大事をとって、2,3日後にシャワーの許可、1週間後に入浴許可を出す場合もあります。

 

最近では、身体に吸収される糸を使って縫合することが増えたため、抜糸するケースが少なくなりました。
したがって、外科的アプローチとしては、手術1回のみということになり、患者の負担を減らせるようになりました。

 

 

鼠径ヘルニアの手術時期

 

「鼠径ヘルニア」と診断がつけば、できるだけ早めに手術をしたほうがよいでしょう。

 

鼠径ヘルニアの手術は、ヘルニアそのものの治療というよりも、合併症として起こる「かんとん(脱出したヘルニア内容が元に戻らなくなる病気)」の予防という意味合いが強いからです。

 

うだうだしているうちにかんとんを起こしてしまっては、更に大変な手術を行うはめになります。
しかし、その場で入院、手術というようなそこまで緊急の病気でもありません。

 

 

その時点での生活や仕事などを考慮して、区切りがつく時期に行うといった形で構わないと思います。
受診するのが恥ずかしかったり億劫だったりという理由で、数年の間、鼠径ヘルニアの症状を放置している人も少なくありません。

 

ここまで長く放置できていれば、もうかんとんを起こす可能性は低くなっていると思われます。
しかし、100パーセント安心という保障はないので、やはりきちんと受診して手術することをおすすめします。

鼠径ヘルニアの手術の種類

 

「鼠径ヘルニア」の手術には2通りの方法があります。

 

 

1つ目は、「切開手術」といって、鼠径部を切開してヘルニア発症部分に到達し、治療を行うものです。
現在の日本においては、この方法が鼠径ヘルニアの一般的な手術方法とされています。

 

 

2つ目は、「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」で、お腹の中からカメラと手術道具を挿入して、そのカメラが写す映像を見ながら、医師が遠隔操作で治療する高度な手術法です。

 

日本ではまだ歴史が浅く、その権威と言われている医師がテレビに出ていたりしますが、
実際に腹腔鏡手術ができる医師はまだまだ少ないといわれています。

 

しかし、この腹腔鏡手術は非常に優れた手術と言われていて、今後日本国内においても発展していく事が望まれます。

 

術後の仕事復帰

 

「鼠径ヘルニア」の手術後は、どのくらいで仕事に復帰できるか気になるところです。

 

 

個人差はありますが、「腹腔鏡手術」の場合は回復が早いので、手術後数時間で退院でき、その足で職場に戻ることも可能です。

 

 

「メッシュ法」でも、多少痛みは残るものの、本人が可能であれば日帰り入院が可能で、
翌日もしくは2、3日後には復帰可能だといわれています。

 

 

長距離通勤や、身体に負担の多い重労働などは、術後1週間は休んだほうが良いでしょう。
この期間に無理をすると、逆に痛みが長引いたり悪化する可能性があります。

 

自分の状態は自分が一番よくわかると思いますので、少し無理があると感じたら安静にすることが大事です。
スポーツ選手などは焦る気持ちもあるでしょうが、できれば2〜3週間練習を控えたほうが無難です。

 

手術後の運動

 

「鼠径ヘルニア」は、その手術の方法によって、回復状態が異なります。

 

従来の筋膜と筋膜を縫合する方法では、手術後強い痛みを感じ、また縫合部分の状態が安定するまでは歩行する事が禁止されていました。
その後、一般化した「メッシュ法」では、痛みはあるものの、可能であれば歩行できるようになりました。

 

 

患者本人が痛いはずなので、できる範囲の歩行となります。

 

ただし、メッシュが埋め込んだ筋膜と完全に癒着するには1ヶ月ほどかかるといわれているので、
しばらくは重いものを持ったり、激しい運動は避けたほうが良いでしょう。

 

「腹腔鏡手術」においては、術後の痛みも少なく、回復も早いので、日常生活や仕事への復帰は早いでしょう。
ただし、状態はよく観察しておく事が大切です。

 

基本的には、身体に無理を感じない行動がのぞまれます。

 

 

鼠径ヘルニアの再発について

 

手術後に症状が再発しないかどうか、患者にとっては気になるところです。

 

 

「鼠径ヘルニア」の場合、筋肉を縫い合わせる「従来法」をおこなっていたころは再発率が10パーセント近くありました。
10人に1人再発するようでは、やはり方法に問題があるということで、現在もっともよくおこなわれている「メッシュ法」がうまれました。

 

 

メッシュ法になってから、再発率は1パーセント以下に下がりましたが、まったくなくなったわけではありません。

 

再発は、残念ながら手術のやり方に原因があります。

 

 

医師の技術もさることながら、どうしても避けて通れずやむを得ず選択した方法が原因で再発することもあります。

 

 

ヘルニアの大きさ、場所、状態など様々な要因があって、1パーセント以下の再発率という数字が出ています。
運悪く再発してしまった場合は、また手術が必要になります。

 

ここで難しいのが、一度目に手術をおこなった病院にいくのか、新たな病院を探すのかという点です。

 

 

医師の技術に問題があったのなら、新しい病院を探したほうがよいでしょう。
しかし、何が原因かというのは再発した時点ではわかりません。
一度目に手術を行った際の、患者本人の心証(相手の言動から受ける印象)などを元に選択するほかありません。

 

 

鼠径ヘルニアの手術の危険性や注意点

 

かんとん

 

「鼠径ヘルニア」で注意すべきは、かんとんです。

 

かんとんは、脱出したヘルニア内容が元に戻らなくなる症状で、
放っておくと強い痛みを伴い、最悪の場合ヘルニア内容である小腸などが壊死する危険性があります。

 

この症状になったときは、有無を言わさず緊急手術となります。

 

 

切開も、通常の鼠径ヘルニアの場合よりも大きめに切開することになり、小腸などが壊死していないか広く調べる必要があります。

 

 

壊死している場合は、まずその部分を切除して、正常な腸同士を縫合します。
このとき、壊死している部分が他の正常な部分に触れないように注意が必要です。

 

なぜなら、壊死している部分というのは、化膿して様々な菌が繁殖しているからです。

 

メッシュを使うことも避けます。

 

したがって、筋膜と筋膜とを縫い合わせる従来からの方法がとられます。

 

 

メッシュを使用しない従来法をとると、術後の経過や再発に関して不安が残ります。
例え痛みがなくて日常生活には問題なくても、鼠径ヘルニア症状が出ていれば、かんとんが起こる前に手術をすることをおすすめします。

 

合併症「感染」

 

外科的手術において、「感染」は注意を要する合併症の一つです。

 

合併症とは、ある病気に関連して起きる新たな病気の事を言います。
「鼠径ヘルニア」の手術においては、比較的感染の危険性は少ないといわれていますが、まれに起こる場合があります。

 

 

手術で感染が起きると、たいがい術後1週間ほどでその症状が現われます。
まず、傷が少し赤くなり、引いたはずの痛みが再び感じるようになります。

 

さらに放置しておくと、傷がじくじくしてきて膿が出てくるようになります。

 

こうなれば、ほぼ感染が疑われます。

 

 

感染した事がわかった場合、できるだけ早く受診し(できれば手術をした担当医が良いでしょう)、膿を出してもらいます。
膿を出した後、傷口を生理食塩水で洗い、抗菌薬を処方してもらいます。

 

皮下組織より深い部分で感染が起こっている場合は、1回の処置では膿がおさまらないことがあります。

 

 

そういった場合は、治るまで膿を出しては生理食塩水で洗うという治療を何度も繰り返します。
術後、傷口が膿んでくるような事があれば、痛みが我慢できても放置せず必ず受診しましょう。

 

感染予防

 

手術の過程において、手術内容以外に重要な事は、「感染の予防」です。

 

特に、「鼠径ヘルニア」の場合かんとんを起こしていると、小腸などが壊死している可能性があり、より感染の危険性が高まります。

 

したがって、切開予定の部分を中心に広く消毒します。

 

 

手術をする外科医や看護師は手を消毒し、清潔な手術衣を着て、滅菌された手術器械を使用して手術にのぞみます。
まれに、念には念をということで、患者自身に抗菌薬を投与する場合もあります。

 

通常はそこまでしなくても良いという考えが一般的です。

 

合併症「腫れ」

 

合併症とまでは言いませんが、「鼠径ヘルニア」の手術後に多くの人に傷跡周辺が腫れるという症状が起こります。

 

とくに皮膚の色が変わるわけでもなく、傷口を中心に硬くなって盛り上がります。

 

 

その大きさは、「なんとなく腫れてるかな?」という程度の軽い人と「ヘルニアが再発したのでは?」と心配になるほどの大きな人と様々です。

 

 

原因は、手術で周辺組織を触ったことによる「むくみ」だと思われます。

 

 

 

術後しばらくは傷口も傷みますし心配する人もいますが、ほとんどは2、3週間で腫れはひき、目立たなくなります。
あまりにも心配なようなら執刀医のもとへ受診すると良いと思います。

 

合併症「痛み」

 

「鼠径ヘルニア」の手術をした後は、しばらく患部に痛みを伴います。

 

しかし、大抵は1週間ほどで痛みがひき、前と変わらない生活が送れるようになります。
まれに、1週間過ぎても痛みが続き、一向にひかないといった場合があります。

 

これは合併症の一つと考えられます。

 

 

特に、メッシュを用いた手術法をおこなうと、メッシュという異物が体内で反応したり、
他の神経に影響を与えたりして、痛みを起こすことが多いようです。

 

 

執刀医の技術不足が原因の場合もありますし、患者本人の体質による場合もあります。

 

手術が原因の場合は、最悪再手術ということもありうるので、医師選びは慎重に行うに越した事はありません。
患者本人の体質による場合は、痛みは本人にしかわからないので、診断や治療が難しいところです。

 

多くは、鎮痛薬などを投与して様子を見ます。

 

 

人によっては、時間と共に反応が薄くなり、痛みが消えるという場合もあります。
鎮痛薬を投与しても痛みが続く場合は、「神経ブロック」法や再手術などがおこなわれます。

 

合併症「不妊」

 

男性が「鼠径ヘルニア」になった場合、その手術によって不妊症になる確率が高いという話を聞きます。

 

 

確かに、鼠径ヘルニアを手術するとその周辺には精管などの男性にとって重要な器官が存在していて、
手術によってなんらかの影響が出るという可能性もうなずけます。

 

 

精管を直接損傷してしまうといった重大な医療ミスもあってはなりませんが、
100パーセントないとは言い切れないのが、医療の現場の現状です。

 

 

ただし、鼠径ヘルニアの多くは、左右どちらかに発症します。

 

 

片方の精管が万一損傷したとしても、もう片方が残っているので、不妊という結果にはつながらないでしょう。
そういった合併症(ある病気が原因で起こる病気のこと)を避けるためにも、信頼できる医師をさがしましょう。

出血

 

「鼠径ヘルニア」の手術後、時々、傷口周辺が紫色になって腫れる事があります。
これは、鼠径部周辺の非常に細い血管(静脈)から出血した血液が皮下組織にたまってしまうことが原因です。

 

いわゆる、内出血状態ということです。

 

 

特に、鼠径部は立った際に重心がかかりやすいため、血液もたまりやすくなってしまいます。
この症状が見られても、すぐにどうこうしなければならないという問題でもありません。

 

2、3週間経過を見れば、出血した血液のほとんどが体内に吸収され、紫色の腫れはなくなります。
鼠径ヘルニアの手術では、手術を行う範囲が比較的狭いので、動脈などの太い血管を傷つけることはありませんので、心配はいりません。

 

食事

 

 「鼠径ヘルニア」の手術は、通常であれば1泊2日、もしくは2泊3日のプランで行われます。
手術の前日に入院し、その日はいつも通り過ごします。

 

 

手術の当日は、食事に制限がかかります。手術前の数時間は食事をしないことが原則です。

 

 

なぜなら、手術前に全身麻酔をする場合、気管内へ管を入れて人工呼吸をするため、反射的に嘔吐する可能性があるからです。
麻酔をしているので、嘔吐しているものがそのまま気管へ入ってしまうと、肺炎などの病気につながってしまうので、非常に危険です。

 

 

当初、局所麻酔の予定であっても、何らかの緊急処置で全身麻酔に切り替える可能性もあるので、やはり食事制限は必須項目です。
手術後は、とれるのであれば食事はとって構いません。

 

むしろ、食事がとれるようになるか否かが、回復のバロメーターにもなっています。

 

前準備

 

「鼠径ヘルニア」の手術の前準備として、「剃毛(ていもう)」が行われます。

 

小児は必要ありませんが、成人の場合は鼠径部を切開するわけなので、きちんと毛を剃ってから手術を行います。
昔は、カミソリで剃っていたそうですが、現在は電気バリカンで刈り取ります。

 

 

カミソリを使用すると、皮膚に小さな傷を作る可能性があり、そこから感染する危険性があるため、電気バリカンに変わっていったということです。

 

服用中の薬

 

「鼠径ヘルニア」の手術をする際、他の疾患で薬を服用している場合、その使用を手術1週間前には停止する必要があります。

 

特に、血液関係の薬は要注意です。

 

 

脳梗塞などの薬で、血小板の機能を低下させるような薬を飲んでいると、手術中に血が止まりにくくなる可能性があるからです。
心臓病関係で、血を固まりにくくする薬も同じです。

 

 

個人の判断ではなく、他の疾患でかかっている主治医とヘルニア手術を行う医者と両方によく相談して決めましょう。

 

 

ヘルニア手術を行う際には、医師も患者に他の疾患がないか、服用中の薬がないか、きちんと問診する事になっています。
現況がきちんと把握されないまま、手術をおこなうと思わぬ事故につながる可能性があるので、必ず相談するようにしましょう。

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