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鼠径ヘルニアの手術のポイント

 

「鼠径ヘルニア」の手術のポイントは4つ

 

 

  1. 脱出したヘルニアを元に戻す
  2. かんとん(脱出したヘルニアが元に戻らなくなる状態)を防ぐ
  3. 再発を防止する
  4. 手術が原因となるような合併症を起こさないようにする

 

鼠径ヘルニアの手術は外科的手術の中でも比較的容易で、合併症を起こす確率も少ないといわれていますが、
やはり信頼できる高い技術を持った医師に治療してもらう方が良いでしょう。

 

再発防止という点では、鼠径ヘルニアの2つの種類のヘルニア「間接鼠径ヘルニア」と「直接鼠径ヘルニア」の両方ともの再発を防止しなければなりません。

 

 

例えば、間接鼠径ヘルニアを治療して間接鼠径ヘルニアを再発しないよう処置をしたものの、
直接鼠径ヘルニアが発症してしまっては、また鼠径部を切って開かなければならないのです。

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鼠径ヘルニアの手術(かんとんの場合)

 

「受診するのが恥ずかしい」「痛みがないから放っておいても大丈夫」などという理由で、「鼠径ヘルニア」を放置する人がいます。

 

放置していると、かんとん(脱出したヘルニアが元に戻らなくなる症状)になる可能性があります。

 

 

かんとんになると、強い痛みを伴い、日常生活に支障をきたすことになります。
かんとんになって初めて、病院に駆け込むという人も少なくありません。

 

 

このかんとん症状が起きた場合は、一刻も早く受診する必要があります。

 

 

痛みを感じている時点で、脱出しているヘルニア内容(腸など)がうっ血していると考えられます。
これを放置しておくと、壊死する危険性があるのです。

 

 

また、脱出した小腸が閉鎖されてしまうと(腸閉塞)、強い吐き気や、嘔吐といった症状も出ます。
これらの症状には、緊急手術が必要になります。

 

まず、ヘルニア門を広げ、脱出したヘルニア内容を元に戻します。
この時点で、ヘルニア内容が壊死している場合は切除しなければなりません。

 

 

処置が終わると、再発しにくいよう周辺の補強を行い、縫合します。
かんとん状態になると、症状も重く手術も大変になるため、鼠径ヘルニアの症状が出たら早めに受診し、手術をして治療する事をおすすめします。

鼠径ヘルニア手術一覧

 

メッシュ・プラグ法

 「メッシュ・プラグ法」は、日本国内においてもっともよく行われている「鼠径ヘルニア手術」です。

 

 

まず、鼠径部を切開して鼠径管を開いた後、ヘルニア内容を腹腔内に戻します。
そして残ったヘルニア嚢(=伸びた腹膜)を処理します。

 

次に、バドミントンの羽のような形をしたプラグ(栓)をヘルニア門に挿入して固定します。
そして、鼠径管の後壁には、シート状のメッシュをあて、確実にヘルニア門を閉鎖します。

 

 

メッシュは、「ポリプロピレン」といって、難燃性でたとえ燃やしてもダイオキシンを発生しない素材で、人体に害がなく安心だとされています。

 

リヒテンシュタイン

 

「鼠径ヘルニア」の手術の中でも、アメリカでもっともよく行われている方法が「リヒテンシュタイン法」です。

 

 

これは、鼠径部を切開して鼠径管を開いた後、鼠径管の後壁をシート状のメッシュで補強する手術です。
メッシュは、難焼性の素材で人体に無害と言われています。

 

このメッシュを後壁だけではなく、大腿ヘルニアのヘルニア孔を閉鎖するようにあてれば、大腿ヘルニアの再発も防ぐ事ができます。
日本ではあまり行われておらず、メッシュとプラグを用いた「メッシュ・プラグ法」の方が主流です。

 

PHS法

 

「プロリン・ヘルニアシステム(PHS)法」は、2枚のメッシュが中央で結合したようになっているものを使う鼠径ヘルニアの手術法です。

 

 

鼠径部を切開し鼠径管を開いた後、まずはヘルニア内容を腹腔内に戻します。
そのあと、片方のメッシュをヘルニア孔から腹腔内へ入れ、腹膜の外側に広げます。

 

そしてもう片方のメッシュは、ヘルニア孔手前の筋層の内側におきます。
こうすることによって、後壁部分が覆われ、ヘルニア孔が閉鎖します。

 

 

 

日本国内においては、メッシュとプラグを用いた「メッシュ・プラグ法」が一般的とされていますが、
メッシュ・プラグ法の再発率が8.2パーセントと言われているのに対して、このPHS法は2.2パーセントにとどまっているという理由から、PHS法を選択する病院もあります。

ダイレクト クーゲル法

 

「鼠径ヘルニア」の手術の中でも、鼠径部を切開して鼠径部を開くタイプとしては、
もっとも歴史が浅い手術法が「ダイレクト・クーゲル法」です。

 

 

これは、2004年12月に国内で認可されたもので、同じく近年注目され始めた「腹腔鏡手術」と同じタイプです。

 

 

腹膜外にメッシュを入れて、再発を防止するといった効果があります。
メッシュは、人体に無害とされている難焼性の素材です。

 

この手術では、メッシュを広く設置するため安定感があります。
また、まれに他のヘルニアが並存している場合がありますが、それらも見落とすことなく完全におさえることができます。

 

バッシニ法

 

昔は、「鼠径ヘルニア」の手術方法として、「バッシニ法」が主流でした。

 

 

もう100年も前から行われてきた方法で、ヘルニア内容を元に戻した後、内腹斜筋と鼠径じん帯を縫い合わせるといったものです。

 

 

このことによって、ヘルニアが脱出した後壁を補強することができます。
鼠径ヘルニアの手術の目的のひとつとして、「再発防止」があげられるので、こういった方法がとられてきました。

 

 

しかし、近年になって、この方法は筋膜やじん帯に『つっぱり』部分を生むことになり、年月が経つとそこからまたヘルニアが再発する可能性が高くなっていることがわかってきました。

マックバーニイ法

 

内鼠径輪をかこんでいる「内腹斜筋」と内鼠径輪から出た「精策」の下を通っている「クーパーじん帯」とを縫い合わせる方法が「マックバーニイ法」です。

 

 

「鼠径ヘルニア」の手術法としては古い手法で、近年台頭してきている「メッシュ法」に取って代わられそうな勢いです。

 

 

 

縫合すると、その縫合した部分が緊張状態となり、年月を重ねるごとに力が加わってしまいます。
その結果、せっかく縫合した部分が避けてしまうなどして、ヘルニアの再発につながる場合があります。

 

それを防ぐために、縫合とは別に筋肉に別な切開をおこなって、緊張を起こさないようにします。

 

マーシー法

 

筋膜やじん帯を縫合してヘルニア孔付近の補強をはかる手術法として、今でも行われているのが「マーシー法」です。

 

 

マーシー法は、広がった「内鼠径輪」を狭くするように縫い合わせる手術です。
このことによって、再び内鼠径輪を通って腸などが脱出する事のないようにする、いわば再発防止手術です。

 

主に、「間接(外)鼠径ヘルニア」を対象とします。
※「直接(内)鼠径ヘルニア」の場合、ヘルニア孔は内鼠径輪ではなく後壁になります。

 

 

この方法は、もっとも負担が少ないといわれ、術後のQOL(生活の質)も高い状態を維持できるとされています。
小さいヘルニアや若いヘルニア、女性などによく適応されます。

 

腹腔鏡手術

 

「鼠径ヘルニア」の腹腔鏡手術には、「経腹的方法」と「腹膜外方法」とがあります。

 

経腹的方法は、腹膜に穴を開けて、お腹の中へ直接鏡を入れて行う手術です。
腹壁をつきぬけて、その内側にある腹膜を切開することになります。

 

 

ヘルニア内容を戻したあと、その切開した腹膜部分にメッシュをあて補強してから腹膜と腹壁を縫合します。

 

 

 

一方、腹膜外方法とは、腹壁を突き抜けるときに、腹膜を傷つけないようにします。
腹膜と腹壁筋肉をうまくはがして、その間に空気を入れます。

 

 

腹膜と腹壁筋肉の間から鉗子類を入れてヘルニア内容を戻したあと、ヘルニア門周辺をメッシュで補強します。
そして、そのあとは間に入った空気を抜くだけで、腹膜の縫合は必要ありません。

 

腹壁の縫合をして終了です。

 

 

経腹的方法よりも腹膜外方法の方が、手術による精神的身体的衝撃は少なくすみます。

 

腹腔鏡手術とは?

 

優秀な外科医の特集を組んだテレビのドキュメンタリー番組などで、一度は「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

 

体内に鏡を入れ、鏡が写す映像をモニターで見ながら体内に入れられた細い筒から鉗子類を入れて、複数の医者によって手術を行います。
胃カメラなどの「内視鏡」とは異なり、直接身体に穴を開けて鏡を入れます。

 

 

穴を開ける部分が小さく、炭酸ガスを入れてお腹を膨らませてから、鏡や鉗子類を入れるのが特徴です。

 

 

 

最大のメリットは、通常の切開手術よりも傷跡が小さいため、早く回復するという点にあります。

 

高度な技術を要するため、腹腔鏡手術の認定医制度などもあり、外科医なら誰でもできるというものではありません。

 

 

成人の「鼠径ヘルニア」にも徐々にこの手術法が浸透してきていて、
従来の切開手術よりも傷跡が小さく、回復が早いという点で注目を集めています。

 

 

メッシュ法と腹腔鏡手術の比較

 

「鼠径ヘルニア」の手術のうち、「メッシュ法」と「腹腔鏡手術」の比較をしてみましょう。

メッシュ法
@麻酔・・・全身麻酔、脊椎・硬膜外麻酔、局所麻酔
A手術浸襲・・・小さい
 ※手術による精神的身体的衝撃
B手術の難易度・・・比較的容易
C手術時間・・・短い
D手術後の合併症・・・少ない
E手術後の痛み・・・やや強い
F日常生活への復帰・・・やや遅い
G再発率・・・低い※1パーセント程度
H費用・・・安い

腹腔鏡手術
@麻酔・・・全身麻酔のみ
A手術浸襲・・・経腹的方法だと大きいが、腹膜外法だと小さい
 ※手術による精神的身体的衝撃
B手術の難易度・・・難しい。認定医制度もあり。
C手術時間・・・長い。※医師によるが、熟練しているものなら比較的短い。
D手術後の合併症・・・少ない
E手術後の痛み・・・軽い
F日常生活への復帰・・・早い。1週間もあればで復帰できる。
G再発率・・・低い※1パーセント程度
H費用・・・高い

麻酔方法

 

「鼠径ヘルニア」の手術でメッシュを用いた切開手術の場合、全身麻酔、局所麻酔のどの方法でもおこうことができます。
腹腔鏡手術の場合は、ほぼ全身麻酔下でおこなうことになります。

 

全身麻酔は、酸素のほかに麻酔作用のあるガスをいれた人工呼吸器で人工呼吸をします。
麻酔中は、全身の感覚が麻痺し、意識もなくなるため、手術は眠っている間に終了します。

 

 

これは、呼吸機能の悪い人や心臓病の重い人には使用できないため、そういった人は必然的にメッシュ法の手術法を選択することになります。

 

 

麻酔が切れると、普通に手術跡の痛みを感じるようになります。

 

 

硬膜外麻酔、脊椎麻酔などは、下半身部分だけ麻痺するため、意識ははっきりしています。

 

硬膜外麻酔は、体内にチューブを入れたままおこなうので持続的に麻酔薬を投入できますが、脊椎麻酔は注射を使って一度麻酔薬をちゅうにゅうするだけなので、1時間ほどできれてしまいます。

 

 

さらに麻酔範囲を限定するのが、「局所麻酔」です。

 

 

局所麻酔は麻酔を打ったその鼠径部周辺のみ麻酔がきくものです。
手術を進めながら、痛みを感じるようなら麻酔を追加注入していきます。

 

これは、患者に痛みの具合を確認しながら行うものなので、まったく痛みを感じないものではありません。
逆に、我慢できる程度の痛みはずっと感じるという場合もあります。

 

痛みの感じ方というのは個人差があるので、痛みに弱い人や痛みに異常な恐怖心を感じる人は避けたほうがよいでしょう。

 

手術の時間

 

手術に要する時間は、だいたい片側30分程度と言われています。

 

手術の準備や後処置、麻酔をする時間などを入れても、2時間もあれば終了します。
両側にヘルニアがある場合は、この倍かかります。

 

日帰り入院が可能です。

 

 

かんとん(脱出したヘルニアが元に戻らなくなる状態)を起こしている場合は、かなり長い時間を要します。
手術だけでも2時間以上はかかるでしょう。

 

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