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腹壁瘢痕ヘルニアとは?

 

「腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア」とは、主に他の疾患で開腹手術をした後、
切開した傷跡=瘢痕が治癒したかに見えても、腹圧などによって組織から分離して、

 

お腹の中のものがその分離した瘢痕から皮膚を破って脱出してしまう病気をいいます。

 

 

手術によって発生するので、医原性の疾患と定義づけられます。
この病気は、原因がはっきりしているので治療の方法も明確です。

 

 

もちろん、治療する医師が腹壁瘢痕ヘルニアの発生原因が、医原性によるものであるということをしっかりと熟知していることが前提です。

 

 

また、患者側としても自分が最近どういう病気にかかったか、どういった手術を行ったかをきちんと把握し、医師に伝えられることが重要です。
それができれば、思わぬ場所での発病などでかかりつけではない医者を受診する場合でも、きちんとした診断をしてもらうのにプラスになります。

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腹壁瘢痕ヘルニアの発症を促す要因

 

  • 高齢者
  • 栄養障害がある(ある種の栄養素が欠乏または過剰である状態)
  • 黄疸がある(体内にビリルビン=胆汁色素を過剰に含んでいる状態)
  • 組織の血行障害がある
  • 糖尿病
  • 肺疾患
  • 悪性腫瘍に対する化学療法や放射線療法の経験
  • 腹腔内圧の上昇
  • 他の疾患の術後、腸蠕動(ちょうぜんどう=腸の輪状筋がミミズなどの虫のように動くこと)が遅れている
  • イレウス(腸閉塞・腸ねん転)がある
  • 腹水
  • 肥満
  • 強い咳を伴う呼吸器障害

 

 

腹壁瘢痕ヘルニアは、他の疾患で開腹手術をおこなったあと、その傷跡=瘢痕がなおったかのようにみえても組織から分離し、
その分離した場所から腹腔内のものが皮膚を破って脱出する病気です。

 

 

瘢痕が残っていて、さらに上記の要因を多く含んでいる人がより発症しやすい病気となっています。

腹壁瘢痕ヘルニアの直接的原因(手術)

 

「腹壁瘢痕(はんこん)ヘルニア」とは、他の疾患に対する開腹手術時にできた傷跡=瘢痕が組織から分離してしまったために起こるヘルニアです。

 

では具体的に、手術の過程でどういったことが原因となるのでしょうか。

 

 

まず一つ目は、「手術の瘢痕の感染」です。
手術といえば、当然無菌に近い清潔な状態で行われるべきものです。
しかし、腹膜炎や大腸切除などの手術は便などの存在があるために、汚染する危険性が高くなってしまいます。

 

そういった感染が予想される手術では、より徹底した洗浄・殺菌作業が行われますが、感染の危険性を0パーセントにするのは難しくなっています。

 

対処法
としては、生理食塩水での十分な洗浄や、縫合糸は後日抜糸しなくてすむ吸収糸などを使用することがあげられます。
また、十分な止血をすることで、後に血腫をつくらないことで、感染の機会を減らせます。

 

二つ目として、開けた腹を縫合する際、きちんと縫合できていないなどの「縫合の不適切」があります。
一枚の布と布を縫うわけではないので、腹壁には腹膜・筋肉・筋膜が層となっておりそれぞれがきちんと縫合されなければなりません。
またきちんと層と層が合わさって縫われている場合でも、皮下脂肪の多い肥満患者の場合は縫合が緩くなってしまうため、瘢痕にトラブルが起きやすくなります。

 

 

三つ目として、「腹筋が通常より弱くなっている」状態です。
これは、妊娠時、お腹に水が溜まっている時、お腹の中に腫瘍がある時などに多く見られます。
弱まっている腹筋を縫合する際、元に戻った時の状態やさらに筋力が落ちる場合を想定した上で、非常にナイーブな縫合をする必要があります。

 

 

診断法

 

「腹壁瘢痕(はんこん)ヘルニア」は、他の疾患に対する開腹手術時にできた傷跡=瘢痕が原因で起こるヘルニアです。

 

 

ですから、その大きさは大小様々ですが、術後の瘢痕付近を外観から見ればヘルニア部が膨らんでいる事が多く、診断は比較的容易です。

 

 

自覚症状としては、痛みや重苦しい感覚、瘢痕付近の不快感があります。

 

 

 

しかし、ヘルニアの大きさが大きければ大きいほど、自覚症状が少ないこともあるようです。
通常、立ったままでヘルニアの膨らみがわかる場合が多いです。

 

 

それでいまひとつわからない場合は、仰向けの状態で深呼吸をすることで腹圧を高め、ヘルニアを膨らみを確認する事ができます。

 

かんとん(ヘルニアが脱出したまま戻らなくなる)の可能性は少ないといわれていますが、
まれにかんとんが疑われた場合、腫瘍性の病気と誤診しないよう注意が必要です。

 

 

治療法

 

ある疾患の治療として開腹手術を行ったのち、その傷跡=瘢痕(はんこん)が完治せず、
分離したところから腹腔内の臓器が脱出してしまうという病気が「腹壁瘢痕ヘルニア」です。

 

 

瘢痕が分離してしまう原因としては、手術時の感染や縫合など直接的な原因もありますが、
その他個人的な体質や持病、生活習慣などが間接的な原因となる場合も少なくありません。

 

 

 

自覚症状のない場合、特に手術は必要ありませんが、脱出部分が容易に還納できなかったり、
かんとん(ヘルニアが元に戻れないほど完全に脱出してしまう)の危険性があると、腸閉塞などの合併症も懸念されるため、手術が必要になってきます。

 

瘢痕ヘルニア自体の手術を行う前に

 

まず間接的要因を一つ一つ潰しておく必要があります。

 

例えば、栄養障害や糖尿病などは可能な限り正常な状態に近づけたり、肥満の人は減量したりすることです。

 

 

またその他、血行障害や呼吸器障害などがある場合は、
術中、ヘルニア部を腹腔内に還納することで腹圧が上昇し、それらの障害症状を悪化させる可能性もあるので、十分な注意が必要です。

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