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食道裂孔ヘルニアって?

 

成人の「横隔膜ヘルニア」の中で80〜90パーセントを占めるのが、「食道裂孔ヘルニア」です。

 

 

食道裂孔ヘルニアは、本来は食道を通すために横隔膜にあいている孔(食道裂孔)から、逆に胃が飛び出してしまう病気です。

 

飛び出した胃は、常にその状態でいるわけではなく、腹圧のかけ具合によって出たり引っ込んだりします。
また、立つ・座る・寝るという動作でもその脱出の程度が変化します。

 

横隔膜は呼吸の手助けをしているので、呼吸するだけで変化したりもします。
さらに重症になると、胃の半分以上、または全体が食道裂孔から脱出してしまうこともあります。

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食道裂孔ヘルニアの原因

 

「食道裂孔ヘルニア」には、先天的な原因と後天的な原因の二通りの症例があります。

 

先天的な例でいうと、生まれつき食道裂孔がゆるいため、胃が脱出しやすくなるというものがあります。

 

 

後天的な例は、加齢による食道裂孔のゆるみや、喘息や慢性気管支炎など咳をすることによって腹圧が上昇し、食道裂孔がゆるみやすくなってしまうことがあげられます。

 

 

また、肥満や妊娠などの影響も受けるため、女性に多くみられる病気となっています。
いずれにしても、食道裂孔がゆるんでしまうか異常な腹圧により胃が押し上げられてしまうかというのが、食道裂孔ヘルニアの原因と考えられます。

食道裂孔ヘルニアの症状

 

「食道裂孔ヘルニア」の場合、自覚症状が無い限り、そのヘルニアを治療しなければならないということはありません。

 

胸焼け、腹痛、胸のつかえといった症状が出て初めて、医師の診断の元に治療を行うことになります。
たいていは、就眠時やかがんで作業をしている時、食後などに症状を感じやすくなっています。

 

 

また、酒・たばこ・コーヒーなどの嗜好品を摂取した時にも出やすいと言われています。
自覚症状がなければ、たとえ胃が食道裂孔から脱出している状態だとしても問題にはなりません。

 

食道裂孔ヘルニアの診断方法

 

「食道裂孔ヘルニア」は、バリウムによるX線造影、もしくは内視鏡を用いて診断されます。
仰向けにしたり、頭を下げたり、息を止めたりしてX線造影を行います。

 

特に息を止めて腹圧をかけるという方法は、ヘルニアをはっきりと造影することができます。

 

多くは、「滑脱型食道裂孔ヘルニア」といって、横隔膜部分から食道裂孔に沿ってそのまま胃が脱出している状態です。
まれに、食道のわきに飛び出る「傍食道型」や滑脱型と傍食道型が混合した「混合型」があります。

 

食道裂孔ヘルニアの治療法

 

食道裂孔から横隔膜の上部に胃が脱出してヘルニアになったら、
その治療法として単純に考えると、腹腔内に引き戻さなければなりません。

 

 

まずは保存的治療がおこなわれます。

 

 

1.腹圧の上昇をまねきやすい要素をなくす
 肥満や腹水、強い咳を伴う疾患(慢性気管支炎など)は食道裂功ヘルニアの天敵。

 

 

2.圧迫症状をやわらげるため、食べ物は柔らかく消化の良いものを選ぶ
食べる時も、少量ずつゆっくりと食べたり、一回の食事量を少なくし食事回数を増やす。
食道裂孔ヘルニアは、食道裂孔がゆるくなってしまったことが原因であることが多いので、胃を元に戻した後は、食道裂孔を少し縫う必要があります。

 

 

こうすることで、胃が再び横隔膜の食道裂孔をつたって上に脱出することを防ぎます。
基本的に、自覚症状が無い限り治療の必要はありませんが、自覚症状があれば外科的治療法しかありません。

 

食道裂孔ヘルニアに対する外科的治療の必要性

 

食道裂孔ヘルニアとは、その存在自体に問題があるわけではありません。
ただ存在しているだけなら、なんの治療も必要ないのです。

 

外科的治療が必要となる場合
  1. 食物の通過に障害をきたすほど食道裂孔ヘルニアが大きすぎるとき
  2. 合併症である逆流性食道炎の症状がひどく、日常生活に支障をきたすようになるとき
  3. 食道潰瘍や狭窄(きょうさく)をきたすとき
  4. 食道潰瘍から出血したとき

 

いずれも、そのヘルニアの程度や状態によって外科的治療が行われることになります。

 

 

食道裂孔ヘルニアの合併症

 

食道裂孔ヘルニアは、横隔膜にあいた食道を通すための孔(あな)から、胃の一部が脱出する病気です。

 

これには、胃が食道裂孔をそのまま逆出する「滑脱型」と、
食道裂孔のわきに飛び出る「傍食道型」と滑脱型と傍食道型との「混合型」があります。

 

いずれも、合併症の発症が懸念されます。

 

 

滑脱型と混合型にみられる合併症とは、「逆流食道炎」という病気です。
その名の通り、胃から逆流してきたもので食道が炎症を起こしてしまうというものです。

 

 

他に、ヘルニアができる事で食道がゆるくなってしまい、嚥下(食べ物を飲み込むこと)する力が弱くなり、嚥下困難感を感じる場合もあります。

 

 

傍食道型では、ヘルニア部分が食道を圧迫するために、食べ物が食道をスムーズに通過できなくなったり、
血行障害をおこすなどで潰瘍を発生させてしまう可能性もあります。

 

 

食道裂孔ヘルニアは、それ自体は存在していても問題ありませんが、その存在によって様々な悪症状や合併症の発症があると治療しなければなりません。

 

 

逆流性食道炎の治療

 

食道裂孔ヘルニアは、その存在自体問題がありませんが、合併症として発生する「逆流性食道炎」には治療が必要です。

 

 

 

予防法として、食道裂孔ヘルニアを伝って食べ物が食道に逆流しないためには、
まず、食事をしてからすぐに就寝しない事が大切です。

 

 

食後2時間以上経って、胃がある程度からの状態になってから横になることを心がけましょう。

 

 

 

また、腹圧の上昇しやすい要素(肥満、腹水、強い咳を伴う疾患等)はできるだけ取り除くようにしましょう。
食道が炎症を起こしてしまったら、制酸薬や粘膜保護剤を投与します。

 

逆流性食道炎になると、食物摂取に障害をきたすので、早めの処置が必要です。

 

小児の食道裂孔ヘルニア

 

小児が食道裂孔ヘルニアになったときの代表的な症状として、嘔吐があげられます。

 

 

胃が横隔膜を通って脱出するような状態が起これば、
その小さな体にはすぐに様々な症状があらわれます。

 

 

合併症として逆流性食道炎になると、貧血がおこったり栄養障害、嚥下障害など食事関係にトラブルが生じます。

 

 

また、食べ物がきちんと摂取できない状態から体重が増えなくなったり、
横隔膜付近がトラブルを抱えてしまうことによる呼吸器感染が多発することになります。

 

 

新生児にあるモルガニ孔ヘルニアとは?

 

横隔膜ヘルニアの中でも特殊な形で発症するものが、「モルガニ(Morgagni)孔ヘルニア」です。

 

 

これは、先天性の横隔膜ヘルニアの中でも発生率はきわめて低く、
新生児の「ボホタレック孔ヘルニア」の約1/20だと言われています。

 

 

このモルガニヘルニアは、先天性にもかかわらず、小児期に見つかる場合が少なく、多くは成人期に見つかるというところが特徴です。

 

 

自覚症状が出なければ見つからないので、他の疾患のために撮った胸部エックス線写真で初めて発見されるという例も珍しくありません。

 

 

胸骨の下にある横隔膜の筋肉の束が発育不全であるという先天性理由に加えて、
加齢にともなう周辺組織が弱まったり、腹圧が上昇したりする後天的要素が発症のひきがねになるために、特殊な形の発症となるようです。

 

 

ひとたび発見されれば、かんとん(ヘルニアが戻らなくなる)などの危険性を考え、手術を行うことが多くなっています。

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